窓辺でくつろいだり、本を読んだり、家の中に「小さくて居心地のいい場所」が欲しい人から注目が集まっている「ヌック」をご存知でしょうか。
ヌックは、穏やかなおうち時間を過ごしたい人におすすめのスペースです。
どんなふうに作ればよいのか、どんな使い方ができるのか、事例と合わせてご紹介いたします。
快適な居場所づくりの参考に、ぜひご覧ください。
ヌック(イングル・ヌック)とは?
ヌックとは、「居心地のいいこじんまりとした場所」を意味します。
もともとはスコットランド語の「ヌーク(neuk)」が語源といわれています。
中世のスコットランド住宅には「イングル・ヌック(ingle nook)」という暖炉のそばに作られた腰掛けがあり、その「暖炉脇の小さくて落ち着けるスペース」という意味から広まりました。
リビングや階段下などの一角に設けられることが多いです。
ヌックのメリット
1.完全な個室とは違ったプライベート空間が作れる
ヌックは完全な個室ではないため、リビングなどの一角で家族と過ごしながら自分だけの時間を過ごせることがポイントです。
例えば、家族がリビングでテレビをみている時、同じ空間にいながら、ゆるやかに隔てられたスペースで本を読んだり、仕事をしたり、自分の好きなことに集中することができます。
2.デッドスペースを活用できる
ヌックは基本的に小さいスペースなので、家の中のデッドスペースを活用することができます。
例えば、階段下の空間をヌックにして、子どもの遊び場や、本棚を設置して読書を楽しんだり、隠れ家のように一人時間を過ごせる場所をつくることができます。
3.いろいろな使い方ができる
ヌックはいろいろな使い方ができるのも人気の理由です。
リビングの一角に設置すれば、子供が小さいうちは遊び場として、大きくなれば大人も使える読書スペースなど、フレキシブルに使えます。
作り付けのデスクを設置すれば、子供のスタディカウンターや両親のテレワークスペースとしても利用できます。少し低い天井にしたり、空間をゆるやかに仕切るなどの工夫で、心地よく没頭できる居場所をつくることができます。
ヌックのデメリット
1.費用がかかる
形によって費用は大きく変わりますが、工事費用が追加で必要になります。
本棚や机、ベンチなど、造作の家具のデザインや難易度によっても費用が変わりますので、予算に合わせて作るものを決める必要があります。
2.面積がとられる
デッドスペースを活用することができますが、収納スペースやそのほかの間取りを削って設置する場合も多いので、優先度を確認することが重要です。
3.活用されない場合がある
いろいろな使い方ができるヌックですが、なんとなく取り入れてしまうと、あまり活用されないスペースになる可能性もあります。
また設置する場所も、共有スペースや家族が集まる場所の一角に設置しないと、使いづらくなってしまうこともあります。
ヌックの施工事例と間取り
事例01:出窓ベンチで読書を楽しむヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:リビング
家族が集まるリビングの一角に、本棚と出窓ベンチを組み合わせてつくったヌックの事例です。
窓のそばで日向ぼっこをしながら、リラックスした時間を過ごすことができるヌックです。
小さなスペースで居場所をつくりたい
部屋ほどの広さは必要ないけれど、リビングに接した子供や家族の居場所が欲しいというご要望があり、家族でつかえる小さな居場所としてヌックをご提案しました。
リビングの一角、階段横に1帖+αほどの広さで、小さな小上がりのようなスペースです。
窓辺で読書を楽しめるリーディングヌック
ヌックの壁面には作り付けの棚を設置することで、お気に入りの本を収納できるようにしています。
また奥行きがあるので、個室のようなおこもり感があるのも特徴です。窓辺につくった出窓ベンチで、静かに読書やインターネットが楽しめます。
家族と程よい距離感で過ごせる居場所
また、リビングで過ごす人と同じ空間でつながりながらも、個室に入ったような場所になるようにすることで、程よい距離感を保つことができました。
事例ページ:
事例02:こもれる安心感がある和室ヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:リビング
2つ目の事例は、おこもり感のある小さな和室のようなヌックです。
リビングにつくった3帖の畳スペースですが、入り口をわざと狭く小さくすることで、おこもり感のある空間にしています。
畳で寝転べる安心の居場所
小上がりになった畳の空間は3帖とほどよい広さで、寝転んで過ごせるようになっています。
明かり取りの窓がありますが、照明をすこし暗めにすることで、落ち着いた雰囲気で時間を過ごすことができます。子供のお昼寝の空間としても使えます。
個室のような使い方もできるヌック
リビングに面した共用の場所として、子供の遊び場や家族の居場所はもちろん、1対1程度の来客対応もできるようにしています。
また、小上がりになっているので、段差に腰掛けてリビングにいる人とつながりながら過ごすこともできます。
事例ページ:
事例03:ゆるやかに隔てられたヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:階段横(キッチン前)
3つ目の事例は、階段脇につくった一人用の居場所です。
造作の棚と、ソファを設置して、居心地のいい自分の時間を過ごせるようにしました。
階段脇につくった小上がりの半個室
階段の一段目を延長してスキップフロアのように作った小上がりのヌックです。
ゆるやかに他の空間と隔てることで、半個室のような空間になっています。
家族と過ごしながらも、自分の時間を過ごせる空間としてつくりました。
リビングと閉じずにつながる個室
ヌック自体は、LDKとゆるやかに隔てられています。
床の高さがあることで、キッチンで作業している人の目線と近づくので、程よくつながりを感じることもできます。
事例ページ:
事例04:吹き抜けを見下ろせるヌック
家族構成:夫婦+子供2人
ヌックの設置場所:2階ホール(吹抜け上)
最後の事例は、2階の吹き抜けからリビングを見下ろせるヌックをご紹介します。
家族の様子や雰囲気が分かる場所で、自分の時間を過ごすことができます。
吹き抜け上の共有スペースを活用
こちらのヌックの一番の特徴は、吹き抜けを見下ろすことができる2階ホールの一部にヌックを設置したことです。
吹き抜けに設置するメリットは、1階の冷暖房を共有できるという点です。壁や扉で仕切られていないので、リビングと同様に快適な室温で過ごすことができます。
また、吹き抜けの開放感を生かした間取りにすることで、2階共有スペースの有効活用と遊び心の点で楽しめるヌックになっています。
壁に設置されたスリット窓からは、1階のLDKの様子をのぞくこともできます。
1段下がったカーペットスペース
2階のホールの床よりも1段下げてカーペット敷きにすることで、子供の遊び場や寝転んで過ごせるスペースとして使えるようにしています。
格子でゆるやかに仕切られたヌック
2階のホールとの仕切りとして使用しているのは、ランダムに配置された木の柱です。
吹き抜けの開放感をホールに残しつつ、ヌックとの仕切りに役立っています。
事例ページ:
まとめ
ヌックは中間的な使い方ができるので、家の中の居場所が増えて過ごしやすくなります。
まだあまり馴染みのない方も多いヌックですが、取り入れることも検討してみてはいかがでしょうか。
ステーツでは、施主様のご要望に合わせて幅広い対応が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。